下がっています。簿記2級ネット試験の年度合格率は、開始直後の46.6%から2025年度は32.9%へ、5年でおよそ14ポイント低下しました(商工会議所公表値を年度別に再集計・2026年8月17日確認)。一方で3級は40%前後で安定しており、2級だけが沈んでいく形です。公表されている実数をそのまま並べて、受験計画にどう効くかまで確かめます。
2級ネット試験の合格率は5年でこう動いた
日商簿記のネット試験(CBT方式)は2020年12月に始まりました。商工会議所が公表している年度別データを新しい順に並べると、次のようになります。
| 期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月〜6月 | 33,659名 | 10,749名 | 31.9% |
| 2025年4月〜2026年3月 | 141,072名 | 46,351名 | 32.9% |
| 2024年4月〜2025年3月 | 124,429名 | 44,359名 | 35.7% |
| 2023年4月〜2024年3月 | 119,036名 | 41,912名 | 35.2% |
| 2022年4月〜2023年3月 | 105,289名 | 39,076名 | 37.1% |
| 2021年4月〜2022年3月 | 106,833名 | 40,713名 | 38.1% |
| 2020年12月〜2021年3月 | 29,043名 | 13,525名 | 46.6% |
初年度の46.6%は開始直後の4か月分という特殊な区間なので割り引くとしても、2021年度の38.1%から2025年度の32.9%まで、年度ベースで一度も反発せずに下がり続けています。2026年度も第1四半期(4〜6月)が31.9%で、流れは変わっていません。受験者数は同じ期間に10.7万人から14.1万人へ増えており、「受ける人が減って母集団が濃くなったから」という説明は成り立ちません。
3級は安定、2級だけが沈む
同じネット試験でも3級は様子が違います。2025年度は受験276,477名・合格112,797名で40.8%、直近の2026年4〜6月はむしろ44.5%へ上がりました。過去5年も37〜41%の帯から出ておらず、悪化トレンドはありません。
つまり「簿記が全体的に難しくなっている」のではなく、2級と3級の間の段差が開いているというのが実数の読み方です。3級の学習内容が商業簿記の基礎で完結するのに対し、2級は商業簿記の応用に加えて工業簿記(配点40点)が入ります。3級の感覚のまま「もう少し勉強すれば届く」と見積もると、この段差に正面からぶつかります。
3級の詳しい数字は簿記3級の合格率の実像で別途整理しています。
この数字だけで「難化」と断定できない理由
正直に書くと、合格率の低下がそのまま「問題の難化」を意味するとは限りません。ネット試験は好きな日に受けられるため、準備が浅いまま「とりあえず受けてみる」層が増えれば、問題が同じでも合格率は下がります。受験者が5年で3割以上増えている事実は、この可能性を支持します。公表データには受験者の学習時間や再受験率が含まれないので、難化と受験行動の変化を実数で切り分けることはできません。
ただ、受験する側にとっては原因がどちらでも結論は同じです。「3人に1人しか受からない試験」を前提に計画を組む必要があります。
合格率3割の試験にどう向き合うか
合格率32.9%を計画に翻訳すると、次のようになります。
まず、1回で決め打ちしないこと。ネット試験は統一試験と違って随時受験でき、不合格でも数日空ければ再受験できます(申込规定は受験時点で商工会議所の案内を確認してください)。初回を「本番形式の実力測定」と位置づけ、2〜3回の受験を織り込んで日程を組む方が、1回勝負で数か月延ばすより早く着地します。
次に、配点40点の工業簿記を後回しにしないこと。合格率が下がっている試験で、出題範囲の4割を試験直前に詰め込む設計は分が悪すぎます。商業簿記と並行で早期に着手し、勘定連絡図を自分の手で書ける状態にしてから過去問期に入るのが、遠回りに見えて確実です。
なお、紙で受ける統一試験は同じ2級でも合格率がさらに低く、直近2回はいずれも15.1%でした。方式の選び方は統一試験とネット試験どっちで受けるかで実数を並べて比較しています。当サイトの数値の扱い方は運営者情報のとおりです。
合格率・受験者数は商工会議所検定サイト「簿記 受験者データ」で2026年8月17日に確認した公表値です。