簿記2級の合格率は、ネット試験31.9%に対して紙の統一試験15.1%。比にすると2.11倍です。ただしこの比は、どの回の統一試験と並べるかで大きく振れます。開きを作っているのは受験者が減り続けている統一試験側のばらつきで、方式を変えれば自分の合格確率が2倍になる、という意味ではありません。

2026年4〜6月に2級を受けた38,480人のうち、紙は4,821人

同じ3か月に簿記2級を受けた人は、ネット試験33,659人と、第173回統一試験の実受験4,821人。合わせて38,480人で、紙で受けたのは12.5%です(日本商工会議所「簿記 受験者データ」の公表値)。合格者で見ると11,477人のうち統一試験は728人、6.3%にとどまります。

級・方式期間・回受験者数合格者数合格率
2級 ネット試験2026年4〜6月33,659名10,749名31.9%
2級 統一試験第173回(2026.06.14)4,821名728名15.1%
3級 ネット試験2026年4〜6月64,183名28,546名44.5%
3級 統一試験第173回(2026.06.14)14,359名4,854名33.8%
日本商工会議所の公表値。統一試験の受験者数は、申込者から欠席を除いた実受験者数。

統一試験の実受験者は、第163回(2023年2月)の12,033人から第173回の4,821人へ、3年半で59.9%減りました。同じ期間にネット試験は2022年度105,289人から2025年度141,072人へ34.0%増えています。移った人が誰で、残った人が誰かは公表されていません。ここが、この2倍を読むときの最初の壁です。

操作の違いが原因なら、3級でも2倍になっていたはずです

3級を同じ期間で並べると、ネット試験44.5%・統一試験33.8%で、比は1.32倍。差は10.7ポイントです。2級は16.8ポイント差の2.11倍ですから、級によって開き方がまるで違います。画面で解くか紙で解くかという操作の差が効いているなら、級が変わっても比は似た値に落ち着くはずでした。

2級だけが開く原因として、工業簿記が入って範囲が広がることは真っ先に浮かびます。それと並んで効いていそうなのが、統一試験を受ける人の減り方です。3級の統一試験は第173回で14,359人が受けていて、2級の3倍います。受ける人数が少ないほど、回ごとの当たり外れがそのまま数字に出ます。3級側の数字の並びは3級の合格率の実像にまとめてあります。

統一試験の合格率は回によって11.9%から28.8%まで動く

直近11回の2級統一試験を並べると、最低が第165回(2023年11月)の11.9%、最高が第168回(2024年11月)の28.8%。幅は16.9ポイントで、平均は20.2%です。同じ試験の合格率が3年半のあいだにこれだけ動きます。

ネット試験のほうは年度で32.9%から37.1%の帯に収まっていて、幅は4.2ポイントしかありません。十数万人が別々の日に受けるぶん、1回の問題の当たり外れが薄まります。統一試験は1回につき問題が1セットで、その回の第3問がどう出たかが、そのまま合格率になります。

だから「2倍」を固定値のように扱うと、読み方を外します。第168回の28.8%を同じ2024年度のネット試験35.7%と並べれば1.24倍。第165回の11.9%と2023年度の35.2%なら2.96倍です。持ってくる回を変えるだけで、同じ主張の根拠が1.2倍にも3倍にもなる。私はこの比を、方式の優劣を決める数字としては使いません。ネット試験側が5年でどう動いてきたかは2級の合格率推移で別に追っています。

申込者の6人に1人は、当日そもそも来ていない

統一試験の低さには、よく持ち出される説明があります。日程が年3回に固定されているから、準備が間に合わないまま受ける人が混ざって合格率が下がる、というものです。この線はしかし、公表値の中ですでに一度引かれています。

第173回の2級は、申込5,724人に対して実受験が4,821人。903人、率にして15.78%が欠席しています。公表されている15.1%は728÷4,821で、欠席者を除いた実受験者ベースの数字です(直近11回とも、この割り算で公表値と一致します)。仕上がらなかった人のかなりの部分は、受験せずに分母から抜けたあとです。

それでも15.1%が残ります。

欠席率のほうは、第163回の20.33%から第173回の15.78%へ下がってきました。受ける人が絞られる方向に動いているのに、合格率は上がっていない。これが実際の並びです。ネット試験の公表値には申込者数の欄がないので、同じ引き算はできません。

同じ人が何回受けたかは公表されていない

ここから先は公表値では届きません。ネット試験の受験者数は延べです。各会場が任意の日を設定する随時試験で、終了後その場で合否が出ます。落ちた人が同じ年度内に受け直せば、その人は2回、3回と受験者数に数えられ、最後に受かれば合格者にも入ります。統一試験は年3回が上限で、第170回(2025年6月8日)から第171回(2025年11月16日)までは161日あきました。実人数あたりの合格率が方式でどれだけ違うのかは、この数字からは出せません。

問題の難しさそのものも比べられません。2級は商業簿記と工業簿記あわせて5題以内・90分・70%以上で合格。この試験時間と基準は2021年度から統一試験もネット試験も同じで、そのうえで別々の問題を解いています。どちらの問題が難しいかを、日本商工会議所は出していません。

合格基準の「70%以上」のほかに、大問ごとの配点や採点基準は公表されておらず、科目ごとの足切りが書かれているのは1級の欄だけです。公表されている項目を級ごとに並べたのが簿記2級の合格基準は70%以上だけという記事です。

受ける日を選べるかどうかが、合格率より計画を動かす

ここまでの数字を学習計画に翻訳すると、比の大きさより受験日の自由度のほうが実務的です。ネット試験なら、模擬試験で7割を安定して超えた週にそのまま予約できます。統一試験は、6月に間に合わなければ次は11月。161日を待つあいだ、実力は仕上がったまま置かれます。同じ準備量でも、試験日とずれた分だけ受験が先に延びる。ここが方式選びで一番効く差です。

逆に、ネット試験の31.9%を自分の合格確率だと思って準備量を決めるのは危険です。あの数字には、様子見で受けた人も3回目の人も同じ重さで入っています。必要な量は方式ではなく範囲で決まるので、テキストのページ数からの逆算で総量を出してから受験日を置くほうが、順序として早く着きます。方式そのものをどう選ぶかは統一試験とネット試験どっちで受けるかに条件を分けて書いています。

受験者数・合格者数・合格率は日本商工会議所の検定サイト「簿記 受験者データ」で2026年9月6日に確認した公表値です。試験時間・合格基準と、統一試験の施行日は同サイトの2級試験科目のページおよび過去の試験日一覧で同日確認しています。